━ 移民・入管・人口関連
● これも私の限られた経験ですけれども、技能実習として来られる方々の中には、そういう捉え方、そういう言葉でそれを表現される方もいることは事実です。五百万円ぐらいのお金を払い、最終的に二千万ぐらいの貯金を持って帰るというようなパターンを言っている人たちもいます。そういう方々は投資という言葉を使います。ただ、行政の立場で、国会の場で、その民間人が使っている投資という言葉はやはり私は使わない方がいいというふうに判断したところでございます。
● 現実に今、四十万人ですか、技能実習生の方が来られていて、そして、私も限られた経験ですけれども、会ってみると、本当に若い方々、夢と希望を持って、そして頑張って働いている、そういう姿に接します。何が一番夢ですかと言うと、やっぱり日本で三年、五年頑張って、そこでお金をしっかりと得た後は、そのお金を持って本国に帰り大きな家を建てるんだと、家族のために、親のために。家建つんですかと。いや、建ちますよ、もうはっきり、若い女性ですけれども、言っておりました。そういう彼女たちの夢が懸かったスキームでありますので、国会で様々な御指摘を厳しい御指摘も含めいただいておりますから、それはしっかりと身にしみて、身に刻んでそれは対応しなければいけないと思いますけれども、この制度そのものは、大きなまた夢を育んでいる様々な、そこに夢を育んでいる様々な実習生の方もおられますので、そういう方々を思い描きながらやはり改革を前に進めたいと、そういう思いでいるところでございます。
● ただいま委員から御指摘ございましたとおり、混雑を解消させる観点からオンライン申請の利用も推奨しているところでございます。一点、数字を御紹介しますと、令和六年四月の実績で申し上げますと、在留諸申請の主要な手続である在留期間更新許可申請、在留資格変更許可申請及び在留資格認定証明書交付申請の合計数に対し、オンライン申請数が占める割合は二一・七%となってございます。(発言する者あり)では、もう一度お答えします。令和六年四月の申請数に占めますオンライン申請の比率は二一・七%となってございます。
● 在留資格がない外国人をテーマに御指摘を受けているわけでありますけれども、障害者総合支援法に基づく更生医療というのは、身体障害者手帳の交付を受けた身体障害者が自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療について、その所得に応じ医療費の自己負担の一部を補助する仕組みでございまして、同制度は、社会連帯と相互扶助の理念に基づくものでございますから、この在留資格がない外国人にはこれ適用ができません。こうした障害者総合支援法に基づく更生医療というのは、身体障害者が自立した日常生活、社会生活を営むことができるようにするため、一定の場合に医療費の負担の軽減を図るために公的な助成も行います。この制度は、社会連帯と相互扶助の理念に基づいて、障害者、身体障害者手帳の交付を受けた身体障害者の社会経済活動への参加の促進を図るために講じている制度でございますから、不法滞在の外国人を対象とするというのは困難だと思います。
● 特定技能制度におきましては直接雇用を原則としており、派遣形態による受入れを認める特定産業分野は農業及び漁業の二分野に限定しているところです。令和五年十二月末時点における派遣形態での雇用が認められている特定技能所属機関数でございますが、暫定的な数値でございますが、農業分野で二十六機関、漁業分野で一機関でございます。また、令和五年十二月末時点で派遣形態により受け入れられている特定技能の外国人の人数でございますが、暫定的な集計でございますが、農業分野が一千六百七十三人、漁業分野が六人の、合計一千六百七十九人となってございます。なお、派遣形態により受け入れられている特定技能外国人の平均的な収入につきましては、統計を取っていないことからお答えすることが困難でございます。
● 現行の技能実習制度は、人材確保ではなくて、人材の育成を通じた国際技能移転を目的としておりました。同一の事業主の下で一貫した実習を行うという観点を徹底し、労働者派遣について、雇用主と異なる事業主の指揮命令の下で実習を行うということになりますから、これは認めてこなかったわけであります。他方で、人材不足分野における人材確保を目的とする特定技能制度では、繁忙期の労働力の確保や複数産地間での労働力の融通といったニーズに対応するために、農業、漁業分野で労働者派遣を活用した外国人の受入れを認めてまいりました。この点、育成就労制度は、人手不足分野における人材確保が制度目的に加わることに加えて、特定技能制度との接続性を高めることとしていることにも鑑みまして、自然的要因による業務の繁閑期がある分野におきましても受入れが可能となるよう、これらの分野に限り、一貫した人材育成を担保するための特別な枠組みを設けた上で労働者派遣の活用をした受入れを認めると、こういうこととしたわけであります。
● 我が国の公的年金制度というものにおいて、国籍にかかわらず外国人も日本人と同様に適用を行っておりまして、この要件を満たした場合には厚生年金保険が強制適用されることになります。このような取扱いとしておりますのは、社会連帯とそれから相互扶助の理念に基づいて、老齢、障害又は死亡という保険事故に対応して個人に対する所得保障を行うためでございます。例えば、制度に加入中に障害が起こった場合には、要件を満たせば障害年金が支給されるということになります。これはもう外国人も日本人も同じだということです。こうした保障の必要性は、育成就労制度及び特定技能制度の下で働く外国人についても同様であります。選択制とした場合はこうした保障が受けられなくなってしまうものでありますから、それはやはり適当ではないというふうに考えるところでございます。
● 技能実習生が特定技能外国人を含む日本で就労する外国人、技能実習生や特定技能外国人を含む日本で就労する外国人が本邦での活動を終了し母国に帰国するに当たっては、支払っていた年金保険料の一部を脱退一時金として請求することが可能であると承知しております。ただし、この委員御指摘の脱退一時金の請求手続における手数料の問題、これは、法務省は年金制度を所管していないことから、所管外でありますので、お答えを差し控えたいと思います。我々は、今取り組んでいるのは、日本に入国する際に全ての技能実習生に配付している技能実習生手帳、あるいは入管庁のホームページで公表している在留外国人向けの生活・就労ガイドブックにおいて、脱退一時金の支給要件、あるいは支給に当たっての注意点、請求手続などを記載して、外国人への周知には努めているところであります。
● 特定技能制度につきましては、人手不足分野において、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れるという制度趣旨から、政府基本方針において、特定技能外国人の技能水準に係る要件として、各分野の分野別運用方針において定める試験への合格を求めております。特定技能評価試験は、一定の専門性、技能を要する業務に即戦力として従事するために必要な知識又は経験を測るに足る水準である必要があり、その作成に当たっては、分野を所管する省庁が、政府基本方針に基づき法務省が定める分野横断的な試験方針に基づき、有識者に相談するなどした上で法務省による確認等を受けること、試験の水準を技能検定などの合格水準と同等とすることなど、試験水準の適正性を担保する仕組みとしております。具体的には、受入れ分野を所管する省庁からの委託を受けた民間の試験実施機関が作成、運用する試験により技能水準の確認を行っている場合が多いものの、建設分野や造船・舶用工業分野などにおいては、厚生労働省が定める実施計画に基づき、中央職業能力開発協会や都道府県が実施する技能検定の合格でもよいこととしているところです。法務省としましては、特定技能制度の技能水準を技能検定を用いるなどして適正に確認することの重要性は認識しており、本法案の成立後には、有識者等による新たな会議体を設けて意見を求めるなどし、委員御指摘の趣旨も踏まえながら、各分野を所管する関係省庁ともしっかりと検討してまいります。
● 外国人が日本で介護職として働く場合の在留資格としましては、特定技能や技能実習など主に四つの在留資格がございまして、個々の介護施設等のニーズに応じて適切な在留資格を有する人材に御活躍いただいていると承知しています。今般の育成就労制度が創設された場合、介護分野においては、例えば就労育成制度から特定技能制度へとステップアップして、最終的には国家資格としての介護福祉士の資格を取得して在留資格「介護」での就労を目標とするといったキャリアアップの道筋がより明確になると考えています。今後も、介護、外国人介護人材のキャリアアップの支援を計画的に行う事業所の好事例の周知などを通じて、外国人介護人材がキャリアアップしながら日本で長期間就労し、活躍できる環境の整備を進めてまいります。
● 介護分野に限らず制度全般に関する協議状況ということになりますが、これまでも、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議における議論の状況につきまして、中間報告書案や最終報告書たたき台、最終報告書など、折々のタイミングで概要を送り出し国政府及び各国大使館に提供するなどして情報提供してきたところでございます。また、技能実習制度におきましては、現在十五か国と二国間取決めを作成しておりまして、これらの国との間で定期協議を行っておりますが、技能実習制度の見直しに関する検討が始まって以来、この定期的な協議の場においても、今回の制度改正の内容等についても説明するとともに、意見交換を実施してきております。本法案が成立いたしました暁には、送り出し国に対して育成就労制度の概要を含めた制度改正の内容について御説明するとともに、新たな二国間取決めの作成と適切な制度運用に向けて丁寧に協議を行ってまいりたいと考えております。
● 我が国に居住する外国人が日本の公的年金制度に加入し年金の受給資格期間を満たした場合は、日本の年金の受給権が発生いたしますので、仮に外国人が帰国した場合には日本の年金をお支払いするということになります。将来、我が国で就労する外国人が増加した場合には、海外で日本の年金を受給する外国人の増加につながる可能性ございますけれども、どの程度の外国人が十年間の年金の受給資格期間を満たすのか、また、年金の受給資格期間を満たす外国人のうちどの程度の方が母国に帰国して日本の年金を母国で受給するのか、こういったことを見込むということは困難でございますので、どの程度の影響があるのかというところについてお答えすることは困難でございます。なお、公的年金の受給者のうち海外で受給している方の年金額は、日本人と外国人を合計いたしましても足下で年間四百億円程度でありますけれども、令和五年度の日本の国際収支の経常黒字二十五・三兆円と比較して小さい規模となっております。
● 外国人の増加の関係のシミュレーション分析についてお答えいたします。今回の育成就労の制度改正の影響も含め、今後、中長期的なトレンドでは、国内に居住する外国籍の方々が増加し、その方々が社会保障制度の適用対象になる、このように見込んでおります。こうした中、我が国の将来の人口規模に関する将来推計人口では、直近の実績も踏まえ、外国人が一定数増加することは考慮しており、例えば、前回の平成二十九年推計では外国人の入国超過数が約七万人、年七万人としておりましたが、直近の令和五年推計では年十六万人程度と置いております。また、この将来推計人口の結果については、社会保障の給付と負担の将来見通し、また年金の財政検証等にも活用されており、今後も引き続き、委員の方から御指摘いただきましたように、外国人の動向も踏まえながら適切に対応していきたいと、こんなように考えております。
● これまでは技能実習制度という形で、建前と本音の違いという御指摘もありましたけれども、短期に入っていただいて、技能を修得して、また帰国される、一時的に預かる、こういう考え方でありましたが、育成就労制度の下では、仕組みの根本は同じなんですけれども、できるだけ長くキャリアパスを積み上げていただく中で日本にいてもらいたい。ですから、結果的にはその永住者の数が増える方向には作用していくというふうに思われますけど、永住者の数をこれだけにしたいということが政策目的ではありません。また、永住者の数を増やすということ自体も政策目的ではありません。外国人材に選んでもらえる、そういう状況をつくり、結果として永住者が増えていく、そういう形になることを想定はしておりますけれども、それが政策の目的ではありません。
● まず、結果的に人が集まらないんじゃないかという御指摘でございます。委員御指摘のとおり、タクシードライバーにつきましては、旅客を安全に輸送するため、そうした観点から、二種免許の取得に加えまして、旅客に対する接遇あるいは事故時の対応等が必要になることから、議員も御指摘ございましたけれども、他分野よりも高い日本語能力を求めています。こうした中で、外国人材の受入れを目指す事業者においては、まず、海外で積極的な広報、採用活動を展開、また、ドライバーの育成、教育において、現地で人材育成等を行っている機関、そうした機関の協力を得ていく等、様々対応を行っていく予定と聞いております。国交省といたしましても、外国人ドライバーを受け入れる事業者あるいは関係行政機関の協議会を設置いたしまして、海外でのドライバー育成等に係る優良事例を様々横展開するなど、円滑な外国人材の受入れに取り組んでまいりたいというふうに考えております。また、ライドシェアを全面解禁すべきではないかという御指摘でございます。そもそも、原則として、有償で旅客を運送するサービスにつきましては、旅客を安全かつ確実に輸送する、これが原則でございます。そうした観点から、通常よりも高度な運転技能等を有すると認められる二種免許を取得したドライバーにより担われているというふうに理解をしております。今般開始いたしました自家用活用事業は、地域交通における担い手、移動の足の不足解消という喫緊の課題に対応するためのものでありまして、当面、国交省といたしましても、運賃算定手法の見直しあるいは運賃改定の迅速化による早期の賃上げ等の促進、運転者確保に向けて採用活動あるいは二種免許取得に係る費用に対する支援、またキャッシュレスなどの業務効率化、省力化の取組支援等を通じて人材確保を進めているところでございます。こうした生産性向上あるいは国内人材確保のための取組を行った上でなお人材確保が困難な人員不足分について外国人の受入れを行い、安定的、継続的な有償旅客運送を確保してまいりたいというふうに考えております。
● 外国人介護職として、介護職として働く外国人の在留者数、着実に増加しています。特に、特定技能外国人の在留者数は令和六年二月末時点において約三万一千人、それから、受入れを開始した平成三十一年以降継続して増加して、最近の伸びはまた著しく大きくなっています。世界的な人材獲得競争の中で外国人の介護人材を確保していくことが必要です。特定技能試験の実施国や試験会場の拡充、それから各国在住の学生などをターゲットとしたオンラインセミナーの開催、それから海外への戦略的な働きかけや受入れ介護事業者に対して介護福祉士の資格取得のための学習支援、それから外国人職員の生活支援、それからメンタルヘルスケア等に関わる経費の助成、我が国で長く働いてもらうための取組など、様々これは実施をしております。これらの取組を進めてきたことが外国人介護人材の在留者数の増加に寄与していると思います。今般の育成就労制度が創設された場合に、介護分野においても、同制度から特定技能制度へとステップアップし、最終的には介護福祉士の資格を取得をして在留資格「介護」での就労を目的とするといったキャリアアップの道筋を、これは分かりやすく極めて明確につくっております。今後、新たに海外現地で日本の介護についての直接伝えるセミナーの実施を検討しているところでございまして、この中で育成就労制度の説明を丁寧にすることなど、外国人の方に我が国を選んでいただいて、こうしたキャリアアップをしながら日本で長期間就労していただけるよう引き続き取り組むことによって御指摘のようなグラフの数字になっていくんだろうと思います。
● 昨年の通常国会で成立させていただきました改正入管法、これが六月十日に施行されます。施行後は、三回目以降の難民認定申請を行った者は、難民認定申請中であっても、一定の場合を除いて送還停止効の例外となり、当事者が日本での在留継続を希望したとしても、強制的な送還が可能になります。また、既にこれまでも、難民等認定制度の運用の中で、濫用、誤用的な申請者への対策、これは行ってきております。一定の類型の申請者に対して就労制限や在留制限の措置をとっているところであり、また、更なる対策についても継続的に検討を行っております。法務省としては、改正入管法施行後も引き続き、保護すべき者を迅速かつ確実に保護した上で、難民等認定申請における濫用、誤用対策を図りつつ、在留が認められない者については速やかに送還をし、制度全体としての運用を適切に行ってまいりたいと考えます。
● 一般的に、警察におきましては、日本語が通じない外国人に対して取調べを行う場合、通訳人を介してこれを行うこととしております。御指摘の埼玉県警察におきましても同様に対応しており、トルコ国籍の被疑者の取調べにおいて通訳人が確保できずに取調べに支障を来した事実はないものと承知しております。引き続き、通訳体制の整備に努めるとともに、違法行為に対しましては厳正に対処してまいりたいと考えております。
● 法務省から検察庁の取組についてお答えいたしますけれども、適正な刑事手続の実現のためには有能な通訳人を付すことが不可欠でございます。検察庁におきましても、平素から有能な通訳人の確保に努め、各地方検察庁が通常必要な言語及び人数を確保した上で外国人被疑者の取調べについて適切に行っているものと承知しておりまして、お尋ねのように、取調べで言葉が通じず、通訳人が確保できないといったようなうちに被疑者を釈放、不起訴にせざるを得なかったような事件があったとは承知しておりません。
● まず、委員御指摘の埼玉県内における日本の免許証を保有するトルコ国籍の者による交通事故の発生状況についてでありますけれども、平成二十六年から令和五年までの十年間で見ますと、年間五件前後で推移したところ、令和三年は十五件、令和四年は十二件、令和五年は二十七件と、近年増加傾向にあるところでございます。外免切替えの話でございますが、外国の運転免許を保有する者は、外国において一定の運転技能等を有することを確認した上で免許を取得している事情を鑑み、運転に必要な知識や技能の確認を行うなどした上で日本の運転免許を取得することが可能であります。こうしたいわゆる外免切替えの手続におきましては、具体的には、外国の運転免許は有効なものであるかや、外国における運転経歴の確認、自動車を運転するために必要な知識の確認、さらに、運転免許試験場において実際に車を運転して行う運転技能の確認を行っております。加えて、視力等の適性試験については、これに合格することが必要となります。過去、偽造の外国運転免許証による運転免許の不正取得事件も検挙されているところでございまして、警察におきましては、外国免許に関する情報収集を強化するなど、いわゆる外免切替えの審査を厳格化しております。また、外免切替えの際の知識確認問題についても、複数のパターンを用意してランダムに出題するなどの対策を講じているところでございます。
● 我が国に在留する外国人への生活支丸山次長)御指摘の性犯罪につきましても、無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮の実刑に処せられた者については、入管法第二十四条第四号二の退去強制事由に該当いたします。また、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者は、入管法第五条第一項第四号の上陸拒否事由に該当するところでございます。なお、退去強制事由と異なりまして、当該上陸拒否事由には、刑の執行が猶予された場合や日本国以外の国の法令に違反したことによる場合も含むものでございます。なお、御指摘のような性犯罪により懲役一年を超える実刑判決を受けた場合は、先ほども述べたとおり、永住者であっても退去強制事由に該当することとなり、これまでも退去強制手続を取り、送還された者もございます。引き続き、法令に基づく手続の結果、退去強制が確定した者については、法令にのっとり速やかに送還を実施してまいります。
● 外国人永住者の方には二つ法的ステータス、少なくとも二つ法的ステータスがあります。一つは納税者としてのステータス、それから、在留管理上の永住権保持者、許可を得た方としての在留管理上の法的ステータスがあります。それぞれにしっかりと是正策を取りたい、取るべきだという考え方で我々はいるわけであります。恐らく、その二重という意味は、納税上の差押えがあるんだから在留管理上の処分は要らないのではないか、そこに在留管理上の処分が重なってくると納税の特例と二重になってしまう、そういう御指摘だと思いますが、元々、納税者としての法的ステータスと永住権を許可された方としてのステータスが二つあるわけです。それぞれに適切な措置をとるための今回は改正案をお願いしているわけであります。
● 直近でいえば、外国人の方で日本に来たいという方は大変多うございます。ですが、やっぱり、これから五年、十年先、十五年先まで安定的に外国人と日本人とともに共生社会をつくっていくための制度として見ると、今この制度を実現させていただくことが大変重要だと思っております。
● 技能実習生自身あるいは日本に来る労働者が情報を持っていない。そもそも技能実習制度下では日本語ができることになっているんですけれども、ほとんど皆さん日本語できません。かなり個人差があります。日本語を一生懸命勉強その間して、できる人もいますし、できない人もいる。しかし、それはあくまで個人差になってしまっている。この出稼ぎ労働のダイナミズムというのはすごい。そういうことが分からずに来るんです。その中で何とか自分たちは、溶け込んでいこうという気持ちもすごく強い。ただ、その中で言葉の壁があったり、あるいは受入れ側との相性の問題もある。受入れ側との相性がうまくいかない、こういうことになっていくと。そのダイナミズムなんですけど、その先ほど申し上げた80年代半ばから2000年にかけるまでの間の非正規労働者の出稼ぎ労働というのは、日本なんて初めて来た。で、親戚、縁者もいないけど、何となくうわさで日本は仕事があるらしいということで、アフリカの端っこから、あるいは中東から、私たちがそれまで聞いたことないような国、余り知らなかった国、そこから成田空港に降り立って、成田空港から電車やバスに乗って、あるいは道路を歩いていって町工場を訪ねて、コンコンとたたいて、仕事ありませんかと行くわけです。その人たちがこの時代の経済活動を担って、その後定住した人もいる。そのダイナミズムについてやっぱり理解しなきゃいけない。逆説的とおっしゃいましたけれども、どちらがどうかという総合的な問題あると思います。ですから、来る労働者に対して、日本における、今度行く場所は寒いところなのか暖かいところなのか、少なくとも、あるいはどのような気候なのかというような情報はやっぱりなければならない。あるいはどういう仕事なのか。実は、技能実習制度のところにおいても、職種限定にもかかわらず、全然その仕事とは思っていなかったというようなことがあるわけですから、そこでの今おっしゃったコミュニケーションという意味では、情報をいかに正しく伝えるのかということが必要じゃないかなと思います。
● 外国人であるから特別扱いするということはする必要ないし、平等に扱うべきだと思います。だけど、外国人だから日本人とはまた違ったより重いものを、ペナルティーを科すのも違うような気がしますね。だから、例えば、納税しないで義務果たさなかったら、日本人が掛かるような、ペナルティーは同じペナルティー掛ければいいんじゃないか。我々が心配し過ぎだということをおっしゃっていたんですけど、僕はその先生の話を聞いたときに、法務大臣が心配し過ぎだったんじゃないかなと思って、要するに、税金を払わないからこいつは悪い人だとすぐに思っちゃう。そういう懸念があるから、未然に防ぐためにちょっときついおきゅうを据えようというみたいな考え方がある。おきゅうを据えるのは構わないんです。だから、日本人に据えるおきゅうと同じおきゅうを外国人が据えられるのは僕は納得しています。当たり前だと思います。だけど、何で、そういうようなペナルティーを科す法律があるのに、改めて特別にもう一つ付け加えて出入管理法の中に載せる必要があるか。載せる必然性がないと私は思っていますね、それでも十分運用できるわけですから。それで、おっしゃるように、いや、そんなに慎重に丁寧にやりますよという、慎重、丁寧にやると言いつつも、実は悪用することがあるわけですよ。僕は、いわゆる外国人登録証のいわゆる携帯の話でも、そういう使われ方されますから、それが僕らとしての懸念です。これは理解してください。
● 交通事故の違反を起こした場合には、当然、日本人であろうと外国人であろうと同じペナルティーです。それは、特別扱いに外国人しなくていいという話を言っているわけではないんです。問題は、そういうことを科する、罰を科する法律があるのに、何で屋の上にまた屋を重ねて特別な法律を作ってやる必要あるんですかというのが僕の言わんとしているところ。それから、法務大臣は優しいからと、こうおっしゃるんですけど、僕、よく分かりません。ただ、違う優しくない法務大臣になったら、扱い違っちゃいますでしょう。恣意的に使う、それも外国人をターゲットにした法律を作ってそれを恣意的に、今作る理由がないじゃないですか、根拠も薄い。そこのところをもう少し慎重に考えてほしい。で、ちゃんとエビデンスがいろいろ出てきて、確かにこういうことをやらないと外国人は言うこと聞かないねということが納得できるなら僕ら受け入れます。だけど、今こういう中途半端な、何かどさくさ紛れに付け加えたような法律を出されて、それは果たして、これ政府としての権威としても僕疑いますよ、見識疑いますよ。我々外国人が取り締まられるので、なおさら納得できません。本当に良識を取り戻してほしいなと思います。
● 管理される外国人としては、受け入れ難い考え方です。ただ、僕は、なぜそういう考え方になるのかということを不思議に思います。これから少子化する中で、外国人がたくさん、あるいは国際化の中で、多くの外国人が日本に来ます。したときに、なぜ同じような人間として扱わないのか、そこが不思議ですね。それをやることが果たして本当に国益に沿うものか、とても疑問です。一種の人種差別でしょう。そうじゃないですか、違うから。だけど、僕らは、その国民じゃないかもしれないんですよ。ちゃんとした市民として市民の義務と権利果たしているし、権利もやっていて、一緒になってこの国づくりに参加している。愛情も持っているんですよ。すばらしい国だと思っていますよ。僕の知り合いで、中国の富裕層で、シンガポールに住んでいる人がいます。先日訪ねてきて、実は日本に孫が勉強するのに場所を探していますと。日本はいいところですと。まず、安心して暮らせる、安心して夜歩ける、文化もすばらしい、だから日本好きですと言って、日本に来ようとしています。それで、金持ちですから、麻布辺りを探していました。僕、質問したんですよ。「一番いい国、あなたは世界あちこち行っているから、いい国どこだと思いますか」と言ったら「アメリカだ」と。「アメリカはあんな騒動を起こしていて、何でいいんですか」と。「アメリカは、外国に行った自分の国民についての保護が徹底している」と、「何か事故があったときにはすぐに大使館が連絡してくれる」と、「日本はよく分からないけど」と。「一番はアメリカなんですけど、住みやすいのは日本だと思います」と。日本はとても外国人を引き付ける魅力があるのに、外国人を迎え入れる心の準備というか、そこの大人としての振る舞いができていないというのは、すごい残念なんですよ。僕も日本大好きで、日本の文化についてもすごい僕は敬意を表している。まあ半分中国、半分日本みたいなところなんですけど、そういう意味ではとても残念ですよ。もっと日本の方は、もっと自分たちの気持ちを大事にしてほしい、もっとみんなに喜ばれるような、他人さんを理解するような立場になってほしい。他人を尊重する前に、他人を理解することにしてほしい。自分の都合ばかりで外国人をいいように扱うことはやめてほしい。そうすれば反応してきます。それから、さっき日本語の話、私の考え方を述べます。家族帯同して子供を日本に連れてくれば、大人の日本語も進歩すると思います。子供は、日本の学校へ行って、すぐに日本語を覚えます。家庭へ帰ったら親と話します。そうしたら、その親は教室に通わせることもする必要ありません。その子供は将来日本で教育を受ければ、将来、成人して、絶対日本の人材になります。僕は提案するのは、むしろ積極的に家族を連れてきなさい、そしてちゃんと日本の学校に入れて、小さな留学生として扱って、大人を教育するのは難しいですけど、子供を教育するのは簡単なので、そういう方向でむしろもっと国際化した方がいい。
● 横浜中華街の中華料理店は、戦後は主に家族労働に頼って経営していた。父親が鍋を振り、男の子は厨房で雑用と皿洗い、母親、娘はホールで接客。1960年代後半から、街の発展に伴い店舗の規模も大きくなり、香港、台湾からの招聘コックが厨房チーフや主要スタッフとなり、日本人の若者が料理を学びながら厨房を支えた。香港のコックは単身で来日、台湾からのコックは、夫婦で来て、落ち着くと家族を呼び寄せた。当時、日本の給与は香港、台湾に比べはるかに良く、出稼ぎのメリットが大きかった。今日、香港、台湾の料理人の給与は日本を超え、日本への出稼ぎにメリットがなく、ほとんどの店から姿を消しつつある。代わりに、中国の経済が遅れている地域から日本に働き場を求めて来日、彼らはいずれも家族を呼び寄せて日本に定住する考えが強い。今後、今、横浜中華街料理店を支えているのは、新たに来日する中国人と日本人、そして東南アジア人である。今回の入管法改定は、外国人を歓迎しないメッセージを発するため、今後の人材確保に大きな影響が出る。中華料理のメッカとしての横浜中華街の存続に関わる大きな問題です。
● 二〇二〇年のコロナ禍の中で、カニ漁の船主会元会長から、どうしても話がしたいと言われ、会いに行きました。この方は、技能実習生には感謝している、彼らが来なかったらカニ漁は二十年前に終わっていた、でも、今またこのままではカニ漁が終わってしまう、当時五十歳代、六十歳代だった船主たちが七十、八十となってしまった、担い手が欲しい、技能実習では駄目だ、余計な監理費も無駄だ、労働者に直接払ってやりたい、船主が外国人でもいいと思っている。また、同じ頃、農業法人の代表者の方からも来てほしいと要請があり、伺いました。外国から来た労働者を三年間全面的に支援して、三年後には農業で自立していけるようにしていきたい、もちろん自立後も共同してやっていく、近くのある村の村長さんは、外国人でもいい、あと十人移住してきてほしいと言っている、技能実習では見合っていないと。
● 特定技能一号移行時の日本語能力要件について、有識者会議においては、在留の段階ごとに日本語能力が実際に向上する仕組みを取り入れるため、特定技能一号に移行する際に、技能検定試験等の合格とともに日本語能力N4以上の試験合格を必須とすべきであるという意見もございました。他方、試験の受験機会及び教育環境が不十分であることを懸念する意見等もございました。そこで、試験の合格を基本としつつ、当分の間は、試験合格に代わり、相当レベル、時間の日本語教育の受講等も許容することを提言いたしました。この点について、政府方針においては、試験合格のみを要件としております。政府において、新制度を活用して新たに入国した育成就労外国人が特定技能に移行するまでには相当の期間があり、それまでに日本語教育の質を向上させるための環境を整備することが可能と判断したものと考えております。
● 一九八〇年代後半から二〇〇〇年にかけるまでの非正規滞在者が働いていた時代というのは、比較的自由闊達だったのは、社長さんたちは非常に努力されました。例えば、あの時代にイスラム教の人がたくさん入ってきた。職場でイスラム教を尊重して働いてもらわないと駄目なので、そういうことにして、非常に本当に中小零細企業の社長さんがイスラム教の勉強をしたり、いろんな努力したり、あるいはベンガル語やウルドゥー語やアラビア語で機械の取扱説明なんかを書いたりするんですね。辞めてもらったら困るからです。そうでなかったら、働きにくかったら辞めるわけですよ。これが労働者の受入れ制度の中でどのように担保されていくのか。
2024.5.30「第213回国会 参議院法務委員会」(横浜華僑総会顧問 曽徳深)● 中国にこういうことわざがあるんですね。ウサギは自分の巣の周りの草を食べない。それはどういう意味かというと、自分が住む場所の草を食べたら空のタカとかにその場所を分かられるので襲われるわけですね。だから、皆さんが日本に来て、ここは自分が落ち着く場所だよと思ったら大事にするんですよ。それには、やはり元々いる人たちがここを一緒になって大事につくろうねという発信をしなきゃいけないんです。それを発信すると必ず応えます。なぜかというと、やっぱり自分が生きるためにはやるべきことはやるんだというふうに、その覚悟でみんな来るわけでしょう。わざわざ悪いことをして、いっとき金稼いで、それで逃げちゃうという人というのはむしろごく少数であって、その少数の人だけを狙って厳しい法律を作れば問題解決するのかというと、解決しないばかりじゃなくて、一体何をやりたいのか、どういうメッセージを外国人に送ろうとしているのかというのはすごく迷うと思うんです。そこら辺はもっと自信を持って、自分たちに、逆に言うと、受け入れる側の日本の人たちが自信を持ってやっぱり外国人を僕は迎え入れればこの問題は解決すると思います。外国人も自治能力があって、ちゃんと直っていきますから、それで、ちゃんと学校でもそういう勉強を教えていますから。そう思います。
● これまでは、外国人材の方々の労働者性に対する認識が必ずしも十分ではなくて、したがって、労働者としての権利を守る、賃金を正当な賃金で処遇する、こういうところに様々な欠陥があった、それは御指摘のとおりだと思います。したがって、外国人材の労働者としての存在を正面に見て、そして労働法制をしっかりと遵守する、こういう仕組みをつくっていく必要があると思います。現行の技能実習法でも、報酬の額は日本人の場合と同額、同等以上であるということが技能実習計画の認定要件とされております。仕組みとしては、これに違反する場合には改善命令あるいは認定の取消し、こういった措置を講ずる。今回、これに加えまして、監理支援機関の独立性、中立性、あるいはやむを得ない事情による転籍の範囲の拡大、こういったものを合わせていって、何とか同一労働同一賃金、これが厳格にしっかりと適正に適用できるよう全力を尽くしたいと思います。
● ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。「政府は、本法の施行に当たり、在留カード等と個人番号カードの一体化のための準備を進めるとともに、特定在留カードの更なる利便性向上のための措置について引き続き検討を行うこと。また、年々巧妙化する偽造技術に対応し、これを防止するための取組を進めるとともに、プライバシー情報の保護のためのセキュリティ対策を着実に行うものとすること。以上であります。」
● 附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。「我が国が外国人材にとって魅力ある働き先となり、就労希望者がより長く我が国で就労することができるよう、外国人就労者の生活・就労環境等の整備に努めるものとし、賃金をはじめとする待遇や職場環境の改善、国及び地方公共団体等における受入れ体制の整備、本人及び家族のための生活環境の整備、社会保障制度に関する周知徹底、我が国の文化や社会に対する理解の増進等の諸施策の総合的な取組に向けた検討を進めること。・・・永住者に対する永住許可の取消及び職権による在留資格の変更を行おうとする場合には、既に我が国に定住している永住者の利益を不当に侵害することのないよう、定着性及び法令違反の悪質性等の個別事情を厳正に判断するとともに、具体的な事例についてのガイドラインを作成し周知するなど、特に慎重な運用に努めること。また、その場合における永住者の家族の在留資格の取扱いについて、十分な配慮を行うものとすること。我が国が魅力ある働き先として選ばれるため、外国人就労者の家族帯同の在り方について引き続き検討すること。・・・」以上であります。
● 未熟練労働者から一定の技能を修得するところまで頑張っていただくというその過程においては、やはり技能を持った労働者よりも生産性がどうしても低くなりますので、それに見合う給与というものは受け止めていただかざるを得ないと思います。日本国全体として労働分配率を上げるとか生産性を上げるとか、それは、もっと大きな課題があることはもちろんそのとおりでありますけれども、このスキームの中では、やはり未熟練であるところからのスタートでありますので、給与水準を余り過大に研修実施先に求めていくということはできないと思います。また、彼らの立場からすると、いろいろな表現がありますけれども、日本円の感覚でいうと五百万円ぐらい払って日本に来て、三年から五年頑張って、二、三千万の貯金をつくって帰る、日本人の円の感覚でいくと。そういうふうな、短期間とにかく頑張って大きなお金を稼いで、家族の元へ戻り家を建てるんだ、こういうパターンが多くあったわけですよね。これからはまた違ってくるとは思います、技術を修得して、家族も呼び寄せて、日本で定着する。今までは、せっかく稼いだものを、家族を呼び寄せて日本で使ってしまう、そういうもったいないことはしなかった。全部持って帰って、向こうで円からドンに替われば急速に価値が上がりましたからね。これからはまたそれは変わってくるかもしれません。今まではそういう仕組みの中で動いてきた制度であると思います。改善の余地、これは常に考えなきゃいけないとは思います。
● 我々は、多様な外国人材を受け入れるということについてはまだまだ経験不足であります。その経験を踏んでいく中で、新しく気づく問題もあろうかと思いますし、国民の意識も変わっています。また、円のレート自体が目まぐるしく変わっていますから、日本の世界経済における経済的な位置づけも変わっています。その中で、今回、一つのステップを踏ませていただいて、そこで様々なことがまた議論され、様々なことが明らかになってくる。それを積み重ねていく先に、おっしゃる、包括的な基本法ですか、そういうものが見えてくるんだというふうに私は認識をしております。一つ一つ踏みながら、そこで重要な情報を得ながら、様々な議論もしながら、コンセンサスも得ながら、最終的にはそういうものができれば望ましいとは考えます。
● 三つのグループ、一つは未熟練労働者の方々であります。こういう方々の受入れについては、日本の経済社会に大きな影響も及び得るという考え方もあり、国民のコンセンサス、考え方、特に国民のコンセンサス、こういったものを得ながら考えていこう、対応していこうという考え方で進んできております。そして、高度人材については、むしろ優遇措置を設けて積極的に我が国に来ていただくという政策を近年急速に強めているわけであります。今回は、その真ん中であります。未熟練でありますが、一定期間頑張っていただいて育成就労し、特定技能にも入っていただいて、中期の滞在を認める中でステップアップをしていただく。もちろん期間の上限というものは置いているわけであります。その間はフルに能力が発揮できる状況ではありません。やはり、技術なり生産性を磨いていく、そういう途中経過であります。未熟練労働からスタートするわけでありますので、必ずしも十分な給与というものを稼得できない。それは、経済原則に従って考えてみても、そういうことになると思うんです。そういう方々が家族を帯同するということについて、やはり社会的コストが発生せざるを得ない。それを誰が負担するのかという議論をまだまだ日本では十分にできていない、また理解が進んでいない、そういう状況判断の下で、今回は家族帯同を認めない、八年間ですね、そういう方法を考えているわけであります。
● 二国間協定、現行の技能実習制度における二国間取決め、この中で、送り出し国側の実施事項として、認定基準に基づいた送り出し機関の認定を行うこと等が定められておりますが、今後の新しい育成就労制度においては、こうしたMOCの内容を踏まえつつ、新たに、これに加えまして、送り出し機関の認定基準として、手数料の上限等に係る基準を遵守することや監理支援機関等への供応、キックバック等を行わないことなどを盛り込むことを検討しております。また、MOCの実効性を持たせるための措置も考えております。一定期間の新規受入れを停止するといった措置も考えているところでございます。
● 今回の改正は、永住者の方全体を対象にしたものでは全くなくて、一部の、一部の悪質な行動をされている方が対象なんですよね。ですから、それが地方自治体からも話は来る、また、我々政府が作ったロードマップにもそういった問題点の指摘が行われてきています。対応策をつくるべきだということはかねてより指摘をされてきているわけであります。ごく一部の方々が納税義務を果たさないということをそのままにすれば、この在留許可制度そのものが崩れていく、そういう懸念も表明されているところであります。様々な御意見を踏まえて、また、こうした国会での御指摘もいただきながら議論を進めてきたところでありまして、多くの方々が懸念を示されるように、全ての在留者が対象となるものではないので、そこを是非、永住者が対象となるものであれ、ごく一部の本当に悪質な行動をされる方がターゲットでありますので、そこをまず考え方の出発点に置いていただいて、それを見過ごすことが日本の社会にどういう影響を及ぼすかということも考えていただきたいと思います。適正な在留管理が成り立たなくなる、国民に誤解が生じます。より多くの外国人に入っていただくためにも、そのためにも、むしろ、しっかりとした措置を取って、是正をしていくということであります。しかし、定住性にも配慮しています。定住性にも配慮して、いきなり取消しということにはなりません。定住者という、ワンクッション置く変更措置、ここも考えているわけです。それは定住性に配慮した措置であります。いろいろ考えて、様々な御議論を経てここに至っているということを、是非是非御理解をいただきたいと思います。
● まず、御理解をいただきたいのは、外国人との共生社会、これを実現するためには、我が国に在留する外国人にも、責任ある社会の構成員として、公的義務の履行など、我が国で生活する上で最低限必要なルールを守っていただく必要がある。まず、これが基本的な出発点であります。この点、現行入管法上は、永住者については、永住許可後に在留期間の更新といった在留審査の手続が存在していないため、永住者全体について網羅的に税金等の納付状況を把握することが困難であるという状況にありますが、その中で、地方自治体を中心に、永住者の一部において公的義務を履行しない場合があるといった指摘がございます。また、入管庁においても、永住者に関する在留審査の中で、一部の永住者について公的義務が適切に履行されていない事例があることを把握し、認識をしております。こうした状況を容認することは適当ではないと考えます。このような状況を容認すれば、適正に公的義務を履行する大多数の永住者や地域住民との間で不公平感を助長するだけではなく、不公平感だけではなく、不公平そのものを助長する、また永住者全体に対する不当な偏見を招くおそれがあります。今申し上げた点を踏まえて、一部の悪質な事例を対象として、今般、こうした措置を取ることとしたところでございます。
● もっと大きく考えていただきたいのであります。大きく考えていただきたいのは、様々な不正がある、納税に関する不正がある、それを正していくことが、やはり、長い目で見て、日本国民の外国人材に対する、外国人に対する、在留者に対する正当な、適切な評価がそこから生み出されていく、そうでなければ、外国人に対する拒絶反応というものが蔓延していく、そのリスクは非常に大きいと思います。それから、外国人の方は、労働者であり、また納税者でもありますが、もう一つ、在留資格というものを許可を得た、そういう在留資格者としての許可を得た者としての法的ステータスがございます。それぞれの法的な取扱いの中で、我々は、取消し、しかし実態的には在留資格の変更という形で、定着性にも十分配慮した形で適正性を確保しよう、こういうふうに考えているところでございます。
● 本人の責に帰すことができない事情がある場合の滞納、こういったものについては、取り上げるという考え方を我々は持っておりません。帰責性、それが一つの基準になります。ですから、悪質な一部の例を対象にするというふうに申し上げているのも、そういうことでございます。行政罰を受けたことのみをもって、機械的に、自動的に取消しということにはなりません。申し上げますけれども、実質的に見て本人の責に帰すべき事情があるかないか、つまり、在留が良好なものであるかどうかというのが最終的な基準になりますけれども、本人の責任があるかどうか、そういうものがないのであれば、我々は対象にするつもりはありません。
● ここからはあくまで仮定の話としてさせていただきます。そんなことはないと信じていますよ、私も。ただ、例えば、その問題を作っている団体、こうしたところが、団体に年会費を払っている企業とかに便宜を払ったりとか、その便宜の在り方として問題の内容を示唆するといったことというのは一〇〇%起こっていないということを確認をしたい、そういうことなんです。万が一そんなことが行われていたらどんな犯罪なんですかと言っても、個別具体的な案件にはという答えになると思うんですけれども、私も法務委員会でここまで言うわけですから、根拠を持って申し上げています。もしそういうことがあるとするならば、余りにも実習生に対する敬意を欠いているのではないか。私、国会で入管法の質疑を始めてから、本当に様々な情報をいろいろなところからいただくようになりました。先ほど申し上げているように、このテスト、やろうと思えば利権化できますよね。そこを、はっきり、そんなことはできないという確証を持ちたい、申し上げているのはそういうことなんです。
● 技能実習生が技能実習計画の満了前に途中で帰国することとなる場合には、意に反して帰国する必要がないことを説明した上で、帰国の意思を確認する趣旨から、技能実習生が帰国する前に、原則として、帰国の意思を確認した書面を添付した上で外国人技能実習機構に提出することを求めております。育成就労制度におきましても、個別の事情により外国人が育成就労途中で帰国せざるを得ない場合が想定されますが、外国人の意に反した帰国を防止するため、育成就労制度におきましても引き続き帰国同意書を活用する方向で検討しております。
● 本法案では、入管法第二十二条の四第八号を新設し、故意に公租公課の支払いをしない場合には、永住者の在留資格を取り消すことができるものとしております。ここに言う公租とは、国税、地方税などの租税全般をいい、公課とは、租税以外の公的医療保険、公的年金などの公的負担金をいいます。したがいまして、御指摘のありました国民健康保険料、健康保険料、介護保険料、国税である所得税及び相続税、地方税である住民税、国民健康保険税、固定資産税、自動車税等は公租公課に含まれることとなります。この点、御指摘のございました富士山の入山税につきましてですが、これが山梨県富士山吉田口県有登下山道設置及び管理条例で定められている登下山道に係る使用料というものであれば、その性質は山道の使用料であると承知しており、公租公課には含まれないのではないかと考えております。
● 改正後の入管法第22条の6は、永住者の在留資格の取消しをしようとする場合には、原則として他の在留資格に変更することとするものであり、永住者の我が国への定着性に配慮したものでございます。具体的にどのような在留資格とするかは、個々の外国人のそのときの在留状況や活動状況に鑑みて、引き続き本邦に在留するに当たって最適な在留資格を付与することを想定しておりますが、一般的には、ほとんどの場合は定住者という在留資格になると思われます。
● 国を開いていくという考え方で今回の法改正をお願いしているわけでございますので、方向性としては家族帯同についても視野に入れて検討していくべき課題であるというふうには基本的に認識をしております。ただ、現状においては、やはり国民のなかなかまだ拭えない不安感というのもありまして、家族帯同で来られた方々に対する社会的な費用、コスト、それを本当に日本の国民が、納税者が負担してくれるかどうか、そういった点についても、行政サイドでも不安もないわけでもありません。また、これまでの実習生の実態を見ると、この間も介護の現場に行ってきましたけれども、二十代前半の、半ばぐらいの若い介護士が、外国人材が、夢は何ですかと、それはもう、ここで三年間頑張って、そして国へ帰って大きな家を建てるんだということを言っていました。家建つんですかと、もちろん建ちますと、じゃ、一番広い部屋を専有した方がいいですね、もちろんそうします、設計図も書いています。もうそういう気持ちを話してくださいました。
● 国家戦略ということで申し上げるならば、政府としては、国際的な人材獲得競争が激化する中で人手不足の課題に対応するため、我が国が魅力ある働き先として選ばれる国となるよう、外国人材の受入れ制度の魅力向上に取り組んでいく、こうした方向性を追求するとともに、日本人と外国人が互いを尊重し、安全、安心に暮らせる共生社会を実現していくため、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ、これらに基づいて、受入れ環境の整備等、外国人との共生社会の実現に向けた取組を着実に進めていく、この二つの大きな方向性、これを政府として追求することが重要であると考えております。
● まず、滞在期間が短い外国人の場合は、年金保険料の納付が老齢給付に結びつきにくいという特有の事情を踏まえて、一定の要件を満たした場合には脱退一時金の受給が可能となっています。その一方で、長期間日本に滞在することが見込まれる永住者の方については、委員御指摘のとおり、将来の年金受給権を確保するという観点も重要であると考えます。本年三月に厚生労働省の社会保障審議会年金部会において、脱退一時金に関する議論、これを開始いたしましたが、その中で、この年金部会の中では、日本に生活基盤を持つと考えられる永住者資格の方について脱退一時金の支給を制限していく方向性は賛成という意見があった一方で、現行制度において、永住者は海外在住期間が合算対象期間として老齢年金の受給資格期間にカウントされることから、脱退一時金を受給するケースはそもそも限定的であり、必ずしも改正の必要はない、こういった意見もあったと承知をしております。引き続き、次期年金制度改正に向けて、必要な検討は続けていきたいと考えております。
● 今般の永住許可制度の適正化は、永住者について、永住許可後に在留審査の手続がないことから生じている課題に対応するというものです。すなわち、適正な在留管理の観点から、永住許可後に故意に公的義務を履行しないなど、永住許可の要件を満たさなくなった一部の悪質な場合について、その在留資格を取り消すことができるとするものであり、適切に公的義務を履行して日本で生活している大多数の永住者に影響を及ぼすものではないと考えています。その上で、本法案による改正後の永住許可後の在留審査に当たっては、従前の公租公課の支払い状況や現在の生活状況など、対象者の置かれている状況を十分に考慮し、個別の案件ごとに悪質性を判断するようにしておりますし、永住者の在留資格の取消しをしようとする場合であっても、原則として、法務大臣が職権により定住者の在留資格への変更を行うなど、慎重な運用に努めてまいることが重要であると考えております。
● 一定期間の在留期間後、出国することが予定されている外国人に家族帯同を認めるか否か、これについては、本人の扶養能力、あるいは医療、あるいは子女教育の受入れ環境、こういった視点も踏まえる必要があると政府としては考えています。この点、育成就労及び特定技能一号の在留資格については、技能等を身につけてステップアップしていかない限り帰国していただくこととなる制度である、こういった制度でありますので、これは、家族帯同についてもその点を考慮する必要がある、このように考えたわけであります。ただし、現行制度でも、人道上の配慮の観点から、個別事情に応じ、特定活動の在留資格を付与して在留すること、これは認められております。育成就労制度においても、個別事情に応じた人的な配慮、これは当然行われていくものであると考えております。
● 政府においては、我が国の経済社会の活性化、また一層の国際化、これを図る観点から、専門的、技術的分野の高度外国人材の受入れについて積極的に推進しているところです。御指摘の受入れ数目標、こうした数の目標は設けていませんが、私も総理になってから後、直接指示をさせていただいて、令和五年四月に、一定の学歴、職歴と年収を有する者を優遇する特別高度人材制度、これを創設しました。また、海外の有名大学の卒業生を優遇する未来創造人材制度、これも創設をいたしました。こうした制度を運用することによって、高度人材の受入れを進めているところです。引き続き、世界の人材獲得競争に負けないよう、また、人材受入れ制度を世界に伍する水準に改革していくよう、必要な措置を講じてまいりたい。
● 地方出入国在留管理局におきましては、一部の地方自治体から協力要請を受けて、在留審査手続において国民健康保険料などの納付証明書の提出を求める取扱いを行っております。具体的には、国民健康保険料又は国民健康保険税の悪質な外国人滞納者について情報提供を受け、当該外国人が在留資格変更許可申請又は在留期間更新許可申請に及んだ場合には、国民健康保険料又は国民健康保険税を納付したことを示す資料の提出を求め、当該資料の提出がない場合には、原則として不許可処分としています。
● まず、現行入管法第24条第4号の2において、特定技能などの別表第一の在留資格をもって在留する者については、一定の刑罰については刑の執行猶予の言渡しを受けた場合、又は、一年以下の懲役、禁錮の刑に処せられた場合であっても退去強制の対象となることが定められております。しかし、現在、永住者は、同号の退去強制処分の対象となっていないため、これらの刑罰については再犯を繰り返しても何ら入管法上の措置ができない者がおり、これに対応する必要がございます。そこで、第24条第4号の2に掲げる特定の刑罰法令違反について、永住者の在留資格の取消し事由として追加することといたしました。具体的には、例えば、刑法上の窃盗、強盗、詐欺、各種偽造、殺人、傷害などの一定の罪に該当し、1年以下の拘禁刑の実刑に処せられた場合などが当たります。
● 普通に納税していただいている、通常に生活していただいている永住者にとって、何も恐れることはありません。何も怖がることはありません。ですから、悪いことをされる人たちがいるので、それをしっかりと除外する。そういう方々を排除するための法律なわけであります。そして、そういう方々がいると、国民から多くの誤解を招く、善良な方々も、真面目にやっている永住者の方々も非常に悪い印象を持たれてしまう、それを防止する必要があります。ごく一部の悪質なケースに絞っているということを是非念頭に置いていただいて、そしてそれを周知しなければなりませんね。それは周知しなければならないと思います。まだまだそういう十分な情報がないために、不安を持っていらっしゃる方は大勢いると思います。それは私も分かります。ですから、こういう審議を通じて、また、法案を成立させていただけたとしても、その後もしっかりと周知、広報、理解を求めていく、まさに非常に重要なことだと思います。努力します。
● 悪質なブローカーと手を組んでいることが明らかな、そういう事実認定が客観的にできるようなケースであれば、これはもちろん排除するということを二国間協定の相手国にも我々は常々伝えねばならないし、またそのように対応していく必要があると思います。ただ、送り出し機関も様々な業務を行っていますので、その正当な、相応の対価としての費用徴収が行われるのであれば、その部分について全否定するということは、これはできないというふうに思います。繰り返しになりますけれども、悪質なブローカーと明らかに手を組んでいる、そして外国人材に大きな実害を生じているということが明らかに客観的に事実認定できるのであれば、それは明確に排除する、その姿勢は当該国にもあらかじめ示していく必要はあると思います。
● 監理団体から送り出し機関に毎月支払われている費用、いわゆる送り出し管理費につきましては、技能実習法令上、監理費の一部として、実習実施者、受入れ機関から徴収することが法的に認められております。この費用は、実習実施者と技能実習生との間における雇用関係の成立の斡旋に係る事務に係る費用として徴収を認めているものです。外国の送り出し機関において、技能実習生の紹介や斡旋を行うのに要した費用、実費を監理団体を通じて実習実施者から徴収しているものでして、技能実習法上認められているものでございます。一方、御指摘ございましたけれども、技能実習法第28条第1項の規定によりまして、監理団体は、いかなる名義でも、技能実習生から手数料を徴収することは禁止されております。また、技能実習法施行規則第14条第3号の規定によりまして、監理費を直接又は間接的に技能実習生に負わせることも禁止されてございます。このようなことから、送り出し機関に支払う費用を技能実習生から徴収することはできない仕組みとなってございます。
● 永住者による未納が確認された235件は、審査時点において未納であった件数であり、免除などの納付緩和措置を受けた者は除いております。今般の調査は、許可とならなかった556件について公租公課の未納の有無を確認することを目的としておりますことから、これらの未納の金額や期間についての集計は行っておりません。また、許可とならなかった556件のうち、父母のどちらか一方について永住者による未納があることが審査記録上明らかであれば、今回の235件に含めております。
● 永住許可のガイドラインにおきまして、通常、十年以上の在留期間、あるいはそのうち就労資格五年以上というのを一つの目安に持っております。そのうち、育成就労につきましては、そのトータルの十年間の方ではカウントいたしますけれども、就労資格での五年というものには含めない予定としております。
● 外国人材は、労働者として入っていただくと同時に、日本で生活をされる生活者でもあるわけです。我々においても重要なことは、労働者として適切な受入れをすることであると同時に、地域社会、コミュニティーにおいてしっかり受け止める、そして一定の共感をできる、そういう関係をつくりながら、日本で働くことに本来の幸せを見出していただく、それが我々の目指す共生社会の一つの姿かなというふうに思います。経済的な理由で来ていただくんですが、同じ仲間ですよという気持ちを、どのように交換し、伝え合い、信頼関係がつくれるのか、それをどうやって自治体が、国が、バックアップできるのか、そういう大きなテーマがもう一本立っているというふうに認識をしております。
● 文部科学省において実施している外国人の子供の就学状況等調査結果におきまして、令和四年度の調査結果では、不就学の可能性のある子供の数は八千百八十三人、六・〇%となっており、そのうち、小学生相当は五千二百八十六人、五・五%、中学生相当は二千八百九十七人、七・一%となっております。また、進学率につきましては、文部科学省において実施している日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査において、令和三年度の調査結果では、全中学生等の高等学校等への進学率は九九・二%、日本語指導が必要な中学生等の高等学校等への進学率は八九・九%、そして、全高等学校等の高等教育機関等への進学率は七三・四%、日本語指導が必要な高校生等の高等教育機関等への進学率は五一・八%となっております。
● 一般論として申し上げますと、国税の滞納整理に当たりましては、納税者個々の実情に即しつつ、法令等に基づき適切に対応することとしておりまして、滞納整理に際し、滞納者の国籍や在留資格に応じて取扱いが異なるといったことはございません。
● 育成就労制度における監理支援団体、これは多種多様な役割を果たすことを期待されております。雇用契約の成立のあっせんから始まって、育成就労の実施に関する監理、入国後の講習の実施、転籍の申出があった際の連絡調整などなど、いずれも身近で実情に応じてきめ細かく、相手が生身の人間でありますので、きめ細かく対応する必要がある、そういう業務が種々多様なものが予定されております。したがって、これを公の機関で担えるかというと、非常に大きな負荷がかかってくる。あくまでやはり民間の監理支援機関に担当してもらうことが合理的であると我々は考えているところであります。仮にこれを国や公的な機関が担うとなれば、まず、膨大な人員、予算、そして新しい仕組み、機構、そういったものをつくり上げるのに何年もかかるかもしれない、そういうことがあります。ですから、監理支援機関の行動を是正する必要は強くありますが、存在そのものを否定する必要性、適切性、相当性はないと我々は判断しております。
● 現行の技能実習制度におきましては、人材育成による技術移転を通じた国際貢献という制度目的を踏まえ、出身国から直接来日いただくことを想定しているため、在留中の外国人が技能実習に資格変更することは想定していないところでございます。これに対しまして、育成就労制度は、人材育成及び人材確保を目的としており、技能移転を直接的な目的とするものではないため、従前の在留資格が留学であった者を含め、他の在留資格からの資格変更を認めることに特段の支障はなく、御指摘のように帰国せずに育成就労に在留資格を変更することを可能とする方向で検討しております。ただし、育成就労への資格変更を無制約に認めるものではなく、例えば、変更前の在留資格がそもそも他の在留資格への変更が認められないものである場合や、育成就労の業務区分について既に特定技能一号水準の技能を修得済みである場合などについては、変更を認めないとする可能性が考えられます。いずれにしましても、今後詳細を検討してまいります。
● 今国会に提出されている番号利用法改正案では、マイナンバーカードの所持者を対象に、当該マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載し、マイナンバーカードと同様の本人確認ができる仕組みを設けるものと承知しております。一方、在留管理制度においては、中長期在留者全員に在留カードを交付し、これに受領義務及び常時携帯義務を課すことによって、適法な在留資格を持って我が国に在留する者であることや、就労の可否などの情報を即時的に視認できるようにし、適正な在留管理を図っているものです。そのため、現時点におきましては、在留カードの機能をスマートフォンに搭載することは予定しておりませんが、適切な在留管理に資する在留カードの在り方につきましては、技術の進展なども踏まえながら、引き続き検討を進めてまいります。
● 留学生の資格外活動許可につきましては、留学生本来の活動である学業を阻害しない範囲で、アルバイトを通じて留学中の学費及び生活費を補うことにより学業の遂行に資するという観点から、入管法施行規則におきまして、申請に基づき、資格外活動許可として一定の範囲内で就労活動を認めているものでございます。このため、一日当たりのフルタイム勤務約八時間の半分である四時間を算定の基礎とし、これを七日間行うという考え方に基づき、包括的に資格外活動許可を認める範囲を一週につき二十八時間以内としているところでございます。また、あと、資格外活動許可の変遷でございますけれども、ちょっと幾つか御紹介させていただきますと、平成二年時点では、留学、あと、以前は日本語学校を中心に就学という在留資格がございました。留学と就学の者に対して一日四時間以内の包括的な資格外活動許可というのが平成二年の状況でございます。また、平成十年には、留学、大学とか専門学校でございますが、留学の者について週二十八時間以内に変更。さらに、平成二十二年に留学と就学の在留資格を一本化したことにより、旧就学の者についても週二十八時間以内に変更したところでございます。
● 転籍によって人材育成に支障が生ずる、そういうことがない程度に日本語能力が向上している必要がある、それを確認するために、本人意向による転籍時の日本語能力に係る要件を設けております。その際、当該要件は、分野の業務内容等を踏まえて、分野ごとに異なる水準を設定可能としておりますが、これは、就労開始時や特定技能一号への移行時に必要となる日本語能力要件について、分野ごとに異なる水準を設定可能としたことを踏まえたものであって、転籍を不当に制限することを目的としたものではございません。その上で、今後、A1相当からA2相当までの範囲内の水準で新たな試験の導入を検討したいと思っております。これにより、各受入れ対象分野における業務や人材育成の実情に合った適切な日本語能力要件を設定することが可能になると考えております。
● 外務省としまして、移民の定義についてお答えすることは差し控えたいというふうに思いますけれども、海外には多くのいわゆる移民及び難民という方々が存在をしているというのは事実でございます。日本政府としましては、特に外務省としまして、こういった海外の移民及び難民という方々に対して、国際機関などを通じて支援をしているところでございます。日本国内において移民という定義に相当する方がいらっしゃるのかどうかという件については、外務省としましてちょっとお答えしかねるので、御容赦いただければというふうに思います。
● 移民という言葉は様々な文脈で用いられており、明確に定義することは困難ですが、政府としましては、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策を取る考えはないところでございます。本法案において創設する育成就労制度は、我が国の労働力不足が深刻化する中、人手不足分野における人材育成と人材確保を目的としており、他方、同制度は、三年間の就労を通じて特定技能一号の技能水準の人材に育成するための受入れであり、特定技能制度と同様に、受入れ見込み数を上限に受入れを行うこととしており、かつ、家族の帯同を認めないことなどからすれば、いわゆる移民政策には該当しないものと認識しております。
● 外国人技能実習機構では、受入れ機関や監理団体に対して定期又は臨時に実地検査を行い、違反等を認知した場合は改善を指導、勧告しており、さらに、違反の態様等に応じて、主務省庁において監理団体の監理許可の取消し等を行っております。監理団体に対する行政処分について申し上げますと、平成二十九年十一月の技能実習法施行から令和四年度末までに、監理許可の取消しが四十三件、改善命令が二十七件となっております。監理団体の許可取消しの原因となった違反事由について、重複も含め、多いものから順に申し上げますと、認定計画に従った実習監理を行っていなかった場合などの技能実習法令違反が十七件、受入れ機関に対する監査を適切に行っていなかったなど監査に関する基準違反が十二件、虚偽の監査報告書を外国人技能実習機構に提出するなど偽変造文書等の行使等に関する基準違反が十件、送り出し機関との間に不適切な契約を締結するなど監理事業を適正に遂行することができる能力を有するものとは認められなくなった許可基準不適合が十件となっております。
● 今回、その内容を法案に盛り込ませていただいた事情としましては、永住許可後に適正に納税義務等を履行されていない方が一部いらっしゃるという問題意識の下において立案したものでございます。また、今回、法案成立後にこの手続を開始する前提としましては、未納があるかどうかということは、地方自治体等関係機関から入管に御連絡をいただいたところから手続が開始いたしますので、当然、連絡する前には、それぞれの部署において必要に応じた対応をしていただいているものと考えております。なお、入管としてどのような方をこの制度で取消しの対象とし得ると考えているのかということについては、法施行までの間に十分整理させていただいて、ガイドラインのような形で具体的にお示しし、それを参考にして自治体等から御連絡をいただけるということを考えているところでございます。
● 現行の技能実習制度に対しては、国際的にも今御指摘がありました年次報告書の中で、斡旋業者等による技能実習生からの過度の保証金や手数料の徴収の排除、また制度の監督機能の強化、また、本人が希望する場合の雇用先の変更等を可能とする正式なルートの設定、これらが勧告をされています。こうした点を踏まえて、今回の改正法案においては、育成就労制度を創設した上で、手数料等が不当に高額とならないようにするための仕組みの導入、外国人育成就労機構の監督指導機能等の強化、監理支援機関の独立性、中立性の確保、転籍制限の緩和といった方策を講じており、これらにより国際的な指摘に対しても相応の対応を行っていると認識しております。
● 従前から、入管庁におきましては、一部の永住者が永住許可後に公的義務を履行しなくなる例があることを、地方自治体の声などを通じて把握しており、問題意識を有してきたところです。今般の永住許可制度の適正化の検討に当たり、令和5年11月から12月にかけて、改めて複数の地方自治体から聞き取りを行ったところ、入管の手続時に未納分を支払う者が多く、未納分を払う際も在留審査でチェックされる分だけを納付し、過年度分を支払わないことが多い、永住許可の申請時に滞納分を支払い、その後再び滞納する永住者がいる、永住者の住民税や国民健康保険料などの納付状況を定期的に確認し、滞納しているのであれば永住許可の取消しなどの対応が必要であるといった声をいただいたところです。また、永住者全体の公的義務の履行状況を調査することは困難でございますが、当庁におきまして可能な範囲として、永住者の実子として出生した者による永住許可申請の審査記録において、永住者である扶養者による公的義務の不履行の有無を確認いたしました。その結果、令和5年1月から6月までに処分がなされた1,825件のうち、許可がされなかった556件を精査したところ、235件について永住者による公租公課の未納が確認されております。
● 昨年成立しました入管法等改正法では、三回目以降の難民認定申請者は、難民認定申請中であっても、難民等として認定を行うべき相当の理由がある資料の提出があった場合を除き、送還停止効の例外としております。御指摘の難民認定申請の審査期間について、令和五年中における一次審査の平均処理期間は約26.6月となっております。一方で、難民認定申請につきましては内部的な標準処理期間としては6ヶ月としているところであり、例えば過去の事例に鑑み典型的な申立てを行っている事案を始めとして処理期間を短縮するための各種取組を実施し、引き続き、平均処理期間が標準処理期間に近づくよう努めてまいります。その上で、法令に基づく手続の結果、退去強制が確定した者については速やかな送還の実施に努めてまいります。
● 御指摘の質疑において指摘されたトルコ人の方について、我が国の裁判所における確定判決では、トルコ国内における報道に基づき、当該トルコ人は、日本で稼働して得た資金の使途をめぐって家族間で対立を生じ、息子に殺害されたものであるとして息子が逮捕されたことが報道されており、この殺害事件にトルコの捜査機関が関与していることを裏づける証拠は何ら認められないと認定されております。この確定判決における認定のように、親族によって殺害されたことは、一般に、難民条約上の五つの理由による迫害には当たらないと考えております。
● まず、前提事実の認識にそごがあり、送還された者が捜査機関に身柄拘束された後に殺害されたとの御指摘でしたが、この点、我が国の裁判所における確定判決では、この殺害事件にトルコの捜査機関が関与していることを裏づける証拠は何ら認められないと認定されています。その上で、我が国は、難民認定申請がなされた場合は、申請者ごとに申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者を適切に認定しており、トルコに外交的配慮を行って難民認定しないということはありません。